HOME › 第6講 アガリクスのどんな成分が有効なの?
アガリクスの有効成分として最もよく知られているのが「β-グルカン」です。β-グルカンは、ブドウ糖がたくさん結合してできた「多糖体」の一種で、この多糖体が抗がん作用をもたらしていると言われています。アガリクスの多糖体には、他にもα-グルカン、β-ガラクトグルカン、キシログルカンなどが発見されています。
がん細胞を移植したマウスに、体重1㎏当たり1日10㎎の各種多糖体を10日間投与した実験を見てみましょう。腫瘍を移殖して3週間後に増殖したがんの塊を摘出してがんの阻止率を調べたところ、それぞれの多糖体によるがん阻止率は、多糖体を投与しなかったマウスと比較して23~97%で、多糖体構造などの違いによって抗腫瘍効果に差があることがわかりました(T. Mizuno et al, Agricultural and biological chemistry 54, 2889-2896, 1990)。
更に、免疫細胞の一種のマクロファージに、β-グルカンを認識する受容体(レセプター)があることや、そのβ-グルカンレセプターが、β-グルカンと結合することで免疫細胞を活性化させ、TNF-α(サイトカインの一種)を盛んに生み出すことなどが判ってきています。
エルゴステロールは、きのこなどの菌類に含まれる脂溶性の成分です。アガリクスから得られたエルゴステロールを、がん細胞を移植したマウスに投与したところ、増殖するがんの重量が減少したとの研究成果があります(T. Takaku et al, Journal of nutrition 131, 1409-1413, 2001)。
がん細胞も、増殖するのに栄養が必要です。そのため、がん細胞は周辺組織に働きかけ、腫瘍に向かって血管を新たに作らせ、血液を通じて栄養を得るのです。エルゴステロールは、この血管の形成を阻害することが判ったのです。つまり、アガリクスが持つ抗がん作用の一つの働きを示しているといえます。
ピログルタミン酸は、アガリクスに含まれるアミノ酸の一種で、この物質も抗がん作用を示すことがわかってきています。
肺がん細胞を移植したマウスに、アガリクスから得られたピログルタミン酸を30日間投与したところ、増殖するがんの重量が減少し、肺への転移が阻止されました。ピログルタミン酸も、エルゴステロール同様、がん細胞が血管をつくるのを抑える働きがあり、がん細胞は血管から栄養分が補給されず、増殖できないと考えられています。
この研究では、さらに未投与マウスにおいて、がん細胞増殖に伴う免疫細胞(Tリンパ球)の減少が見られましたが、ピログルタミン酸投与マウスではそれらの免疫細胞の減少が抑えられていたのです。また、がん細胞のアポトーシス(プログラム細胞死)の増加や、異物を排除する働きを持つ免疫細胞(キラーT細胞やナチュラルキラー細胞など)が、がん細胞を攻撃するためにがん組織に侵入するなどの効果も認められたのです(Y. Kimura et al, Cancer sciences 95, 758-764, 2004)。
生体の免疫を活発にすることを免疫賦活といいます。免疫力が上がることで、病原菌や異物の侵入に対してより早く排除する働きが起こり、身を守ることができるのです。
疲れや過度のストレス、不規則な生活習慣、バランスの悪い食習慣は免疫機能を低下させます。一方、音楽を聴くなどしてリラックスする、笑う、歩くなどの適度な運動をする、よく眠るなどで免疫機能が回復します。これらも免疫賦活作用ということができます。
健康食品の多くは、自らがもつ免疫力を活性化して病気などを未然に防ぐことを期待して用いられます。
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