HOME › 第2講 アガリクスの驚くべき力
アガリクスから抽出したエキスを使って、「抗腫瘍効果」を確認した動物実験を取り上げてみましょう。
マウスにがん細胞を移植し、その後、アガリクス抽出エキスとエキスを含まない生理食塩水を10匹(各5匹)のマウスに20日間投与し観察しました。がん細胞移植後、13日目にすべてのマウスにがん細胞の増殖が確認されました。しかし、21日目にがん組織を摘出したところ、アガリクス抽出エキスを投与したマウスでは、がん細胞の増殖が抑えられ、がん組織が小さいままのものや、がんが消失したものまであったそうです。(下図)
さらに研究を進めると、アガリクス抽出エキスの成分によりがん細胞が死滅させられたというより、アガリクス抽出エキスがマウスの免疫力を高めたことにより、がんの増殖が抑えられたことが分かったのです。つまり、アガリクスには、免疫細胞を活性化させる力があるということです。
(この実験結果は、ホクト株式会社と信州大学医学部の共同研究によるものです)
アガリクスには、グルコース(またはブドウ糖)を主成分とする「β-(1-3)-グルカン」という多糖体が含まれています。多糖体とは、単糖が多数結合したもので、デンプンやセルロース、グリコーゲンなどもそうです。
アガリクスから抽出した多糖体を、がん細胞を移植したマウスに14日間連続投与した実験では、やはりがんの増殖が抑えられたそうです。さらに、この実験では、がんが増殖するときにできる新しい血管の形成が抑制されていることがわかりました。がん細胞も栄養がないと増殖できません。アガリクスの多糖体は、がん細胞による血管形成を抑制し、栄養を遮断することでがんの増殖を抑えたと考えらえます(Y.C. Niu et al, Oncology reports 21, 145-152, 2009)。
また、増殖が大変早く治療の難しい腹水がんでも、アガリクスの多糖体が増殖を抑えることが分かっています。実験したマウス32匹中19匹でがん細胞の消失が確認され、アガリクス多糖体を投与しなかったマウスに比べ、生存期間が約2倍になったとのことです(H. Ito et al, Agricultural and biological chemistry 54, 2889-2896, 1990)。
これは、驚くべき効果ですね。
肺がん細胞の一種を利用して、マウスで肺がんの転移についての実験が行われました。この実験では、アガリクスの抽出液とフルオロウラシル(5-FU)という抗がん剤を一緒に投与したのですが、この併用によって肺がん転移の抑制が確認されたそうです(伊藤ら、第57回日本癌学会総会記事, 1998)。また、他のがんでも、抗がん剤の単独投与、アガリクスの単独投与、抗がん剤とアガリクスの併用投与で比較してみたところ、併用投与されたグループで抗がん剤の効果が最も高かったという報告もあるんです(伊藤ら、第3回日本菌学会国際シンポジウム, 1995)。
さらに、アガリクスが、抗がん剤や放射線治療によって引き起こされる免疫力の低下や、細網内皮系機能の低下を防止することも分かっています(伊藤ら、第57回日本癌学会総会記事, 1998)。細網内皮系機能とは、体が元々持っている防御機能のことで、古い赤血球や病原菌などを食べて消化します。がんの治療では、これら機能の低下を招いてしまうのですが、抗がん剤とアガリクスの併用が、いわゆる抗がん剤の副作用の低減にも効果があるということになるわけですね。
がんはすべての臓器や組織に発生します。人間の体は、それぞれ固有の働きをする臓器固有の細胞と、それを支える組織から成りますが、がんは、造血器でできるもの、上皮細胞でできるもの、非上皮性細胞でできるものに分類されます。非上皮性細胞とは、臓器を支持する組織を構成する細胞です。
造血器でできるものに白血病・悪性リンパ腫・骨髄腫などがあり、上皮細胞にできるものに、肺がん・乳がん・胃がん・大腸がん・子宮がん・卵巣がん・頭頸部のがん(喉頭(こうとう)がん、咽頭(いんとう)がん、舌(ぜつ)がん等)などの「癌」、また、非上皮性細胞にできるものに、骨肉腫・軟骨肉腫・横紋筋肉腫・平滑筋肉腫・線維肉腫・脂肪肉腫・血管肉腫等の「肉腫」があげられます。(以下、別途記載がない限り、がん情報は国立がん研究センター・がん対策情報センター「がん情報サービス」HPによります。)
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